映画制作を支援する複合現実型可視化技術

田村 秀行 (たむら ひでゆき)

立命館大学 情報理工学部 教授
http://www.rm.is.ritsumei.ac.jp/MR-PreVizProject/top.html



現実と仮想を融合する複合現実感技術を駆使し、映像コンテンツ制作を支援する新しい可視化技術を研究開発します。スタジオ内セット、オープンセット、ロケ現場等で自在に演技と実背景を合成できるPreViz機能、撮影現場でCG合成を実時間視認体験できる機能を、空間レイアウトやキャメラワークのオーサリングツール、アクション編集ツール等の形にまとめ、映画制作の教育現場や商業映像の制作過程でその性能を検証します。

研究実施の概要

【全体構想と目標】
本研究は,現実と仮想を融合する複合現実感 (Mixed Reality; MR) 技術を活用し,映像コンテンツ制作を支援する新しい事前可視化技術を生み出すことを目的としている.具体的には,MR技術を駆使することで従来のPreViz (Pre-Visualization)技術の限界を克服し,スタジオ内セット,オープンセット,ロケ現場等で,予め収録した演技と実背景を自在に
合成し可視化するMR-PreViz機能を達成する.

映像制作の現場にとって,MR-PreViz は全く新しい概念の提唱であるが.こうして得た事前可視化映像や付帯データは,映像クリエータが創造性の高い映像作品を構想するのを支援するだけでなく,本番撮影のコストを削減することができる.本研究の成果は,映像空間レイアウトやアクション編集ツール,キャメラワークのオーサリングツール,MR-PreViz映像ブラウザの形にまとめて提供し,映画制作の教育過程や商業映像の制作現場で活用される技術体系を構築することを目標とした.

【基盤となる技術と研究体制】
本研究の基盤となるのは,MR 技術であり,コンピュータビジョン(CV)技術である.MR技術は我が国が世界を先導する得意分野であり,ハリウッド映画界もまだ手にしていない先端技術である.本研究の基幹技術開発は,技術開発第1 グループ(立命館大)が,MR-PreVizを実現する基幹システムおよび要素技術の開発と他グループの研究成果の統合を,技術開発第2 グループ(京都大)が3 次元ビデオ技術に関する研究を,技術開発第3 グループ(奈良先端大)が屋外環境でのMR 位置合わせ・画質合わせ問題の解決を,と分担して取り組んだ.いずれも,MR 研究やCV 研究の学術分野で,第一線の研究を推進してきた.

【対象とする業界と関連技術】
本研究成果の実用化の対象となるのは,映像制作業界である.映像関連で最高水準の技術が要求される「映画」をターゲットとしたが,TV 番組やCM 映像の制作にも有用であることは言うまでない.映像制作のプリプロダクション段階でPreViz(PreVis,pre-vis とも略す)なる概念は定着しつつあり,CG やVFX(視覚効果)を多用した大作映画での利用は広まりつつあるが,現在,業界内で採用されているのはフルCG のPreViz に留まっている.本研究のMR-PreViz が対象とするのは,実際の美術セットや屋外のロケ現場の光景をバックにしたCG 実時間合成(On-site Realtime 3D Matchmove)であり,これが実現することによりPreViz としての価値が一挙に増し,コスト削減効果も大きい.

【劇場用映画での実証実験】
本研究の成果の有用性検証は研究室内に留まらず,実証実験として劇場公開級の短編映画『カクレ鬼』を自主製作することを敢行した.作品としての『カクレ鬼』は国内外の著名短編映画賞を受賞し,その制作過程への関心も高まった.この実績から,劇場用商業映画『怪談レストラン』(東映配給.2010 年8 月21 日ロードショー公開)のPreViz に採用
され,更なる技術検証の場が体験できた.

【新ビジネスモデル探索と情報公開】
映像制作業界の関心も高まったことから,MR-PreViz 技術の導入による映画制作,CM映像制作のワークフローの変化,新たな市場やビジネスモデル創出の可能性検討を業界内の有力企業2 社に委託し,技術評価・調査・分析を行った.研究プロジェクト終了後,そのレポートや本研究から生まれたソフトウェアツール群の情報公開を予定している.

チーム構成

田村 秀行

立命館大学情報理工学部 教授

松山 隆司

京都大学大学院 情報学研究科 教授

横矢 直和

奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授

チームシンポジウム一覧

  1. International Workshop on Mixed Reality Technology for Filmmaking
  2. 2006年10月22日
    University of California at Santa Barbara

  3. Special Demo Session “Mixed Reality Pre-Visualization for Filmmaking”
  4. 2007年11月15日〜16日
    奈良県新公会堂(第6回複合現実感国際会議併催)

  5. CREST/MR-PreVizシンポジウム
     デジタル技術が映画を変える プレビズ技術が創造性を高める
  6. 2008年7月30日
    日本科学未来館みらいCANホール

  7. CREST/MR-PreVizシンポジウム
     デジタル技術が映画を変える プレビズ技術が創造性を高める Part2
  8. 2009年9月14日

  9. CREST/MR-PreVizシンポジウム
    PreViz技術がもたらす映像制作維新
  10. 2010年11月5日
    IMAGICA東京映像センター 第一試写室

PDF

種類 容量
研究終了報告(公開分) 4.4MB プレビュー ダウンロード

← 片寄晴弘チーム | メンバー一覧へ戻る | 松原仁チーム →